再資源化事業等の高度化に関する法律とは?~排出事業者に求められること~
再資源化事業等高度化法の概要
「再資源化事業等高度化法」は、資源の有効利用を促進し、廃棄物の発生抑制および再資源化を推進することを目的とした法律です。
この法律のもとで、廃棄物の適正処理だけでなく、資源循環の促進が重視され、特に産業廃棄物の発生を抑制しつつ、高度なリサイクル技術の導入が求められます。
本法律は、2024年5月29日に公布され、一部の規定が2025年2月1日から施行されます。
★再資源化事業等高度化法の主なポイントは
- 資源循環の高度化:廃棄物の減量化や再資源化の高度化の推進を目指す。
- 排出事業者の責任強化:適正な廃棄物管理の義務を拡大する。
- リサイクル技術の導入支援:新技術や設備の導入に関する補助制度を導入する。
- 認定制度の創設:再資源化を積極的に推進する企業の認定制度を導入する。
本記事では再資源化事業等高度化法が制定された背景や排出事業者に求められること、そして近畿環境保全の取り組みついてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.再資源化事業等高度化法の概要
- 2.なぜこの法律が施行されるのか?
- 3.排出事業者に求められること
- 4.法対応によるメリット
- 4.1.環境負荷の低減とコスト削減
- 4.2.企業価値の向上と競争力強化
- 5. 近畿環境保全の取り組み
- 6.さいごに
なぜこの法律が施行されるのか?
持続可能な社会の実現に向けた緊急課題
近年、資源の枯渇や環境負荷の増大が深刻化しています。
持続可能な社会の実現に向けた対策として、再資源化の高度化が必要とされており、具体的な背景としては、以下の点が挙げられます。
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資源の枯渇と価格高騰:天然資源の採掘コストが上昇しており、再利用可能な資源を最大限に活用することが急務となっています。
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環境負荷の増大:廃棄物の増加に伴う環境問題が深刻化しており、温室効果ガスの排出削減が求められています。
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ESG・SDGsの推進:持続可能な社会の実現を目指す国際的な動きが加速しており、企業には環境配慮型経営が求められています。
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企業の競争力向上:リサイクル技術の向上により、企業の市場競争力や企業価値を向上させる必要性があります。
例えば、日本では年間約4億トン以上の廃棄物が発生しており、その処理にかかるコストは年間数兆円にのぼります。
この状況を放置すれば、将来的な資源枯渇や環境破壊のリスクが一層高まります。
こうした背景を受けて、「再資源化事業等高度化法」は、廃棄物の発生抑制と再資源化の高度化を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
排出事業者に求められること
排出事業者は、この法律の施行に伴い、以下の取り組みを進める必要があります。
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廃棄物の発生抑制:製造工程や業務プロセスを見直し、廃棄物の発生の削減が求められます。例えば、製品設計の段階で無駄なパッケージングを減らすことや、再利用可能な材料を選択することが有効です。
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適正な分別と排出:廃棄物の適切な分別を行い、リサイクル可能な資源を最大限活用することが求められます。再資源化の推進のために、分別ステーションの設置やスタッフへの教育を強化しましょう。
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リサイクルルートの確立:信頼できる処理業者と連携し、リサイクルルートの確立が求められます。具体的には、廃棄物処理業者と長期的なパートナーシップを築き、リサイクルに対するトレーサビリティを確保しましょう。
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情報管理の強化:廃棄物の排出量や処理状況を適切に記録し、トレーサビリティの確保が求められます。デジタルツールを活用して、リアルタイムで処理状況を管理できるようにするのが効果的です。
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認定事業者との協力:高度なリサイクル技術を持つ認定事業者と協力し、リサイクルの効率化が求められます。これにより、再資源化率を向上させ、企業の社会的責任を果たすことができます。
これらの対応を進めることで、排出事業者は環境負荷の低減だけでなく、コスト削減や企業価値の向上にもつながります。
また、持続可能な社会の実現に向けた企業の取り組みが評価され、ESG投資の対象として選ばれる可能性も高まります。
法対応によるメリット
環境負荷の低減とコスト削減
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環境負荷の低減:廃棄物の発生抑制と再資源化の推進により、温室効果ガスの排出の削減が見込めます。
- コスト削減:廃棄物の発生抑制により、廃棄コストの削減やリサイクルによる資源コストの削減が可能となります。
企業価値の向上と競争力強化
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ESG投資の対象:環境配慮型経営を推進することで、ESG投資の対象として選ばれやすくなり、資金調達が有利になります。
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企業ブランドの向上:環境に配慮した取り組みが評価され、ブランドイメージの向上につながります。
- 市場競争力の強化:リサイクル技術の導入により、コスト競争力を高め、差別化を図ることが可能となります。
近畿環境保全の取り組み
近畿環境保全では、この法律に対応して、以下の施策を進め、排出事業者様の課題解決のサポートをいたします。
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高度な選別技術の導入:2022年にグループ会社に機械式選別機(バリオセパレータ)を導入し、再資源化率の向上を図っています。導入効果として、2024年の再資源化率(セメント原燃料化・石炭代替燃料化)は、2023年比で167% に向上しました(再資源化量 3103t → 5210t)。より効率的なリサイクルを実現するため、新たな設備導入も計画しています。
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DX化の推進と電子マニフェスト対応:デジタル技術を活用し、排出事業者が処理状況や再資源化の現状を可視化できるようにサポートします。電子マニフェストの導入支援を行い、廃棄物管理の効率化を実現します。2024年の1年間で134社 に対して電子マニフェストの導入支援を行いました。
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リサイクルネットワークの拡充:全国各地の優良な処理業者と提携し、広範囲での再資源化の提案が可能です。
- 排出事業者向けコンサルティングサービス:専任の担当者が、最適なプランを提案し、廃棄物管理の効率化や再資源化率向上をサポートします。
さいごに
再資源化事業等高度化法の施行により、排出事業者にはより厳格な廃棄物管理とリサイクルの推進が求められます。
この法に対応することで、環境負荷を軽減するだけでなく、コスト削減や企業価値の向上にもつながります。
持続可能な社会の実現に向けて、早急に法対応を進めることが重要です。
当社では、企業のニーズに応じたサポートを提供し、共に取り組んでいきます。
ご質問やご相談がございましたら、ぜひお知らせください。